ろうそく能「子狐丸」観賞

大槻能楽堂
大槻能楽堂

 先週、ヨメさんの計らいで大阪谷町にある大槻能楽堂開催の公演を観てきました。
「小鍛冶」と言う短い演目を、まず落語家と声優のセッションで紹介があり、その後に義太夫で演じられ、さらに能で演じられる、と言う3部構成の少し変わった趣向の公演でした。実は公演内容さえ席に着いてパンフを読んで初めて理解したのですが、老朽化した大槻能楽堂の改装工事前間近の公演でもあったようです。

 能の観劇は憶えている限り、大学時代に京都で薪能を観に行ったことがあるぐらい。その前は、、、小学校か中学校かでなんか観たぐらいで、狂言であったか能であったかもよく憶えていません。今回も、てっきり和装でインテリそうなオジサマオバサマに取り囲まれるのかと身構えていたつもりが思い気や、出演の声優さんが人気の方なのでしょうか? 若い女性客がむしろ多く面食らいました。

 とは言え、正直心地よく寝てしまうのでは?、ソワソワ付いて行きましたが、「小鍛冶」と言うお話はどちらか言えば短かく分かりよい飽きのこない人気作品のようです。気がつけば最後まで楽しんで観ていました。観劇前にパンフであらすじは頭に入れつつも、何を言ってるやら分からんところも多々ですが、それでも場面転換が多いこともあって気がつけばクライマックス。
 「小鍛冶」は元は長唄の一節のようですが、歌舞伎、能、浄瑠璃などイロイロな芸能で演じられるのだと知りました。人気の漫画が、アニメになったり、映画になったり、ミュージカルになったりするのと一緒なのか〜。微妙に配役の違うバリエーションがあったり。今になってようやく芸能とは、古今を問わずそういうものなのだと改めて納得してしまったところです。

 タイトルの「子狐丸」は「小鍛冶」の話にでてくる刀の名前。人気アニメのキャラクター名でもあり、出演の声優さんがまさにその声の主。こちらに付いて行ける勇気はありませぬが、イロイロ納得な一夜となりました。

ろうそく能
ろうそく能

久しぶりの舞踏観劇・大駱駝艦「パラダイス」

昨日、神戸文化ホールで麿赤兒さん率いる大駱駝艦の舞台「パラダイス」を、嫁さんの誘いで観てきました。舞踏やダンスをホールで観るのは、一体何年ぶりでしょうか。久しぶりに新鮮な気分でいます。

思い返せば大学時代に知り合った友人が芝居好きで、その友人の誘いから始まり大学時代は暗黒舞踏や現代演劇にいくらか興味を持つようになりました。その友人の舞台美術を手伝ったこともあります。怪しい演劇集団の公演情報を探し、怖いもの見たさな気分で誘われるまま、自ら足も運んでいました。
有名どころの「山海塾」は未体験ですが、「日本維新派」「大駱駝艦」「赤テント」「ダムタイプ」少し経って「パパタラフマラ」などなど。有名でもない小劇場に行くこともありました。
中でも強烈な印象に残るのは、舞踏家土方巽が京都の小さなギャラリーで行った舞踏イベント。手を伸ばせば触れそうな距離で、奥から現れたボロ布を被った土方氏がギャラリーの真ん中あたりの床に寝そべり、しばらくするとヒクヒクっと動きはじめる様子を間近に見ていたことです。正直踊りと言うのかなんなのか分からない。すし詰めの観客が一挙手一投足を息を潜めて観ている、なんとも言えない摩訶不思議な空間がそこにありました。

昨日の「パラダイス」を観に行った時、嫁さんの隣に座った30代くらいの女性が嫁さんに声を掛けて来ました。話を聞いているとテレビドラマに出ていた麿赤兒さんがしゃべらないのに醸し出す存在感がすごく気になりはじめ、最近から舞踏を観に行くようになったのだとか。
舞踏家の持つ独特の存在感。それを聞いて思い出したのは田中泯さん。いくつかドラマも観ていますが確かにある存在感。渋い恰好良さがたまりません。
時代に流されず、信念を持って表現を続けているからこそ持ちえる何か。
時代どころか日々右往左往している自分には、もはやほど遠い感じがします。周りの言葉に振り回されず、信念を持って仕事ができるまではまだまだ長い道のりです。

観劇の後、楽屋の麿赤兒さんを間近に見ました。白塗りに怪しげな衣裳を纏ったまま電子タバコを片手に、近しい方々と挨拶されています。お疲れでしょうが、順繰り懐かしそうな方々と楽しげな様子。ひと仕事終えた仁王様にも見えるのでした。

維新派「透視図」を観てきました。

クロワッサンサーカスの綱渡り

いきなりですが、写真は「維新派」の場面でありません。大阪を拠点とするパフォーマンス劇団「維新派」の公演を観に行ったところ、帰り際の会場外でやっていたサーカス団の一幕です。そんな事は知らず、なにやら周囲のどよめきにふっと気がつくとすぐ上を歩いてました。ビックリ。なにやってんの〜て感じで、盛り上がってました。

もちろん「維新派」の劇も面白かったです。いつもの通り野外に設置された仮設建築の舞台と客席、大掛かりな舞台装置、少ないセリフも心象的、音楽一体の独特な集団パフォーマンスが基本です。ストーリーは正直あるようなないような分かりづらい演劇?なので、ご存知ない方にどうにも説明の難しいところすが、我が家では毎年ごとの公演を都合あえば行くようにしています。今回は大阪中之島の川べりでの舞台設置です。
白塗りの団員の演じる姿に昔は泥臭くきな臭い感じがありましたが、洗練なのか時代の流れなのか団員の姿に変わりはないのに印象がモダンな感じに変わってきました。それが良いか悪いかは観る人の感度にもよりますが、個人的にはどことなく物足りなく寂しく感じていたところ、ところが今回は2時間あまりの公演の間に少しも飽きることのない、舞台上の移り変わりに心地よささえ感じました。動かない舞台と動く団員がひとつになった印象さえします。劇終盤には舞台一面にいつの間にか水が張られ、舞台が設置されている川辺から舞台奥に広がる安治川にそのまま繋がっているかの錯覚さえも起こしました。現実から幻想の世界に見事に連れ込まれた見事な演出に圧巻です。

たまたま気がつけば、随分見続けている「維新派」ですが、また来年が楽しみになりました。最後にまた「維新派」とは無関係の動画をお楽しみください。