チームラボと姫路城

チームラボ
チームラボ

 以前から気になっていたデジタルアーチスト集団チームラボが、姫路市立美術館で展覧会を開催しています。6月はじめの日曜日、ヨメさんと観に行きました。

 もうじき会期終了、絶対ヒト一杯やでェ〜、と朝10時半頃に到着すれば、およそ30分待ちのプラカード。並び始めれば、瞬く間に行列が続いて行きます。ふわ〜〜〜っ!
 去年の丁度今ごろ、東京お台場に開館した「森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」がテレビで紹介されるたび、ふわ〜〜〜っと見入っていいた。なんとも気持ちよさそう〜〜〜である。
 年代ものと笑われそうだが映画「トロン」のような、デジタル世界に自分の身がスッポリ転がり込むような錯覚を味わえそう、自然現象をモチーフにした作品が多いが、単なる疑似体験とは違う夢空間に身を置きたいと思わせる。そんなイメージで期待を膨らませ、いざ!。

 ア〜違う。きっとコレはゼンゼン違う。と言うのが、今回の感想。
 残念ながら展示室のスケール不足なのか、期待が肥大過ぎたのか。もちろんソレなりに楽しめたが、身を委ねたような気持ちよさは味わえなかった。出張展示は難しかったのか、インスタレーション的な体感空間ではなく、壁面の投射映像だけで終わってしまったので、ココロで感じるにはボクは歳を取りすぎた。かもしれない。
 動作に反応する文字や図形、散らばる花、揺らめく波に、子供らと一緒になって駆けまわるってことも出来ず、テレビで観たそれであっても幽体離脱するには圧倒感が足らず、ただただ自撮りを楽しむ中年カップルであった。
 こりゃ〜お台場に行ってみんと分からん、と思わせられて、終わってしまった。美術館を出れば、行列だけはさらに延びていたのだけど。

 折角姫路まで足を伸ばしたのだから、姫路城。単純な理由でいざ出陣。
 言わずもがな、圧倒感は明らかにこちらの方が上手でした!。どうやって積上げたのやらの石垣の足元を抜け、6階建て登城のはじまり。実質もっと高いだろうお城の急な階段をエッチラコッチラ登って、どでかい柱や梁を見上げ、いかにも厚そうな床板の足裏の触感を堪能し、姫路の街を一望し、饒舌なボランティアガイドのおじさんに耳を傾かせ、ヨロヨロ降りて。最後は、はしゃぐ外国人観光客を横目に、城をふわ〜〜〜っと見上げて終わり。
 うん、ヨカッタ。

 元号変わりの長かった今年のゴールデンウィークの間には、たいした行楽も出来ずにいたので、ようやく羽を伸ばせた感じがしました。やはりリアルな体験に勝るものは無しでしょうか。それとも、ただそんな歳になってしまっただけか。
 その答えを出すには、まだまだ若造のつもり。のはず。そんな幻覚を味わうのが目的の一日となりました。

ushio 工房 と tamaki 工房 のスケール感がとても気持ち良い。

2月の日曜のことですが、加西市と西脇市にあるふたつのアトリエをヨメさんと尋ねました。

* * *

まず以前より親交いただいている石の彫刻家 牛尾啓三 先生の加西市にあるアトリエ。


随分昔に一度訪ねたきり。今回、そのアトリエで3彫刻家の制作風景公開イベントなる案内が届いたので、良い機会と思って訪ねました。
到着すると、石切場跡のアトリエ風景はそれだけで迫力満点、来る甲斐があります。
この場所で大きな塊の石?岩?から、なんとも不思議な知恵の輪のような数学的作品を数多く生み出し、世界中を渡りあるく芸術家のアトリエと聞くだけでなんだかスケール感に圧倒されるのです。この場にいるだけで、ワクワクします。
切り出しの様子を、おかきとお茶をいただきながら拝見して来ました。

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帰り、西脇にある播州織研究家 玉木新雌 さんの工房兼ショップに立ち寄りました。

偶然に知り合いの工務店さんがこのショップの移転改装に関わられていて、連れて行ってもらいそのスケールに驚いたのが少し前。ヨメさん連れて行けばコレは間違いなく喜ぶと思っていたのです。
今では世界的なブランドからも注目をされているそうですが、こんな規模になる以前から少し知ってはいたので、広い駐車場まで備えた新しい工房にずら〜りと並んだ織機が並ぶ様には正直驚きます。そして織機の間を縫って工房見学もできるようにされているのがまた新鮮です。
ここを束ねる玉木新雌さんは、まだまだ若い方。やや廃れつつな地場産業に新風を吹かせています。

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コトを成し遂げるスケール感に、ふたつの工房はどこか共通するものがあるように思えました。いろいろな意味で刺激を受けます。

北斎の浮世絵刷りに初挑戦「みんなの学美場」

去年の北斎展からにわか浮世絵ファンになったところで、今年初めは調子に乗って浮世絵の刷り体験講座を、ヨメさんともども神戸市立博物館で受けてきました。ミュージアムエデュケーション研究会2017「みんなの学美場」という、明石、神戸、阪神間の美術館や博物館等12施設が連携して去年から開催しているワークショップのひとつです。

参加者は年齢幅もありそうな20名ほど。博物館の地下にある一室に案内され、講座が始まりました。長テーブルの上に版木が整然と並べられています。近づくと、その版木は少し小さいけど北斎の見慣れた図案。大っきな浪間の向こうに富士山の見える富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」です。意味なく嬉しくなってきました。

「神奈川沖浪裏」版木

はじめに研究会の趣旨について説明を受け、続いて浮世絵のこども向け基礎レクチャー?。この講座自体は、博物館が教育関係者や、小・中・高生の美術教育の一環として元々取り組んでいたものを、今回は一般向けに開催したのだそうです。
とは言え、目の前にあるのはちゃんとした?彫師さんが掘った本格的な版木。時代を超えても、刷り上がれば浮世絵に違いありません! うまく刷れたら売れるかも? 学芸員さんの手慣れた説明を受けて刷り講座がスタートしました。

まずは、はがきサイズの金魚の親子!主版と呼ばれる線図に2枚の色版3色刷り。おやおや、意外と難しい。学芸員さんのアドバイスを受けつつ、なんとか1枚刷り上がり。まずは練習。練習。さらに、同じくはがきサイズの猫の版木に挑戦。意外といけるやん、と調子を掴んだところで、北斎の版木に向かいます。

「神奈川沖浪裏」は、線図の主版に6枚の色版で7色刷り。図案自体はB5くらいで用紙がA4ほどです。
まず版木に絵の具をちょんちょんと載せ、その3分の1くらいの糊(絵の具の定着を良くする)を添えます。饅頭サイズのモップのような刷毛で、絵の具と糊を混ぜ合わせる様に版木に拡げます。和紙を版木右下角のアタリに紙を合わせつつそっと載せ、馬連でやさしく抑えつつ、はじめはゆっくり徐々に力を入れながら刷り、そっと引き上げる。浪裏の線図が現れました。
ええ感じやん。
さらに1色目を載せ、2色目を重ね。3色。。。と進んで4色目。技ありのグラデーション着色。絵の具と糊を並行に撫でながら、ふんわり富士山を浮き立たせる空色を付けます。恐る恐る引き上げたところで、横にいた若い女性に、お上手ですね〜、と言われ。あ、そうですか〜。頭を掻きながら浮き浮きとなり、5色目、6色目と順調に行くはずがぁ。。。そんなうまくも行きませんわ。絵の具の付けすぎか馬連の乱れ、浪のないところに浪ができてしもた。焦りは禁物。無心でないとええもんできません。とほほ。

小一時間の講座でしたが、なかなか緊張感もある浮世絵刷り体験。次こそは、売りもんを刷ってみせます。ところで、こうした浮世絵は当時500円くらいで売られていたとか。レクチャーで聞いた豆知識でした。

百と100 〜 北斎と安藤忠雄 〜

あべのハルカス美術館で開催中の「北斎展 – 富士を超えて -」と、大阪国際会議場で開催されたアイカ現代建築セミナー「安藤忠雄講演会 – 新たなる挑戦 -」に行って来ました。一日でこなす行事としては、ちょっとばかり濃い感じ。

「北斎展」

平日なのにスゴい人混みでした。昼すぎ会場に着いて当日券を買うのに3〜40分の行列。さらに入場10分。予期せず1時間ちかく行列に並ぶ羽目となりました。北斎人気にびっくり仰天です。

この北斎展に合わせて放送されていたNHKの特番やドラマをほぼ欠かさず見ていました。絵を描く人にとって、挑戦的な姿勢で画業を全うする北斎は憧れの一人でしょう。日本人画家?で一番知名度があるのは、やはり北斎の気がします。小学校の美術の教科書に載っていただろうと記憶を辿っても、いつの頃から北斎の名前を知っていたのかさえ分からない人も多いのではないでしょうか。そのくらい北斎という存在は日本人に浸透している気がします。

展示は北斎が70~80~90歳代に渡る後期のものがメインで、卓越した筆使いにいちいちため息がでてしまいます。ドラマの中で幾つになっても絵の上達を目指す北斎の貪欲な姿が描かれていましたが、展示の最後あたりになると片隅に「百」の印が押された画が並びます。当時なら既にヨボヨボ長寿の筈と想像するのですが、さらに百歳まで絵を描き続けようと88歳から全ての作品に使っている印章だとか。ただただ恐れ入ります。

「安藤忠雄講演会 」

現代において知名度の高さなら北斎に劣らずの建築家・安藤忠雄氏。北斎展に押されて開演ギリギリの到着。会場後ろの席で中心通路際に座っていたら、開演同時に安藤氏が横を颯爽と通り過ぎていきました。癌の手術を受けられていることはご存知の方も多いと思いますが、そんな気配を感じさせない凛とした歩き姿です。

ステージに上がってまず、ちょっと摘出手術したけどしっかり元気やで、いつものガラガラしゃべりでアピール。さらに正面スクリーンに映し出された「100」の文字。何かと思えば、百歳まで仕事しまっせと宣言したのです。なんと、北斎とおんなじことをしてるやん。。。御歳は76の筈。北斎の宣言まで後12年ありますが、十分にのけぞりました。北斎展に合わせた余興だったかどうかは定かでありませんが、ここから4半世紀はまだまだ譲らん!という勢い。講演会でそんな宣言をする建築家っていうだけで、ただただ恐れ入ります。

いつものように住吉の長屋から始まって、最近のプロジェクト紹介。地平水平を超えた仕事っぷりにため息ばかりでてしまいます。適度に笑いを織り交ぜ、聴衆をサービス精神旺盛な飽きさせない話しっぷりにも脱帽です。

百と100

二人の作家に思わぬ共通点。今の自分に満足することなく我武者羅に、いつまでもどこまでもやり続けたい一心こそ、作品以上に人々を惹きつける魅力なのだと知る一日となりました。

KHギャラリー芦屋(旧コシノ邸)|安藤忠雄

この日曜日、台風の接近間近に安藤忠雄設計のKHギャラリー芦屋(旧コシノヒロコ邸)にヨメさんと二人で行って来ました。4〜5年ほど前から、一般公開されています。
ギャラリーのHPで開催中展覧会の最終日と見つけ晴れている午前中のうちなら〜、慌てて到着すれば、エ?扉が閉まっている!
玄関先でオロオロしているところに、中の学芸員さんが気づいて出て来てくれました。実は展覧会は好評で会期延長、さらに台風接近で今日は休館のインフォメーションを告知していたのですが、、、と聞かされ唖然。そこをナントカ折角だからと、食い下がると学芸員さんは親切に開けてくださいました。スミマセ〜ン。

厳かに中に入らせてもらうと、まず和室と大階段。そのまま吹き抜けのリビングが続きます。なんと言えばよいのか、安藤建築に出会えた感触が湧き起こりました。適度に余裕をもって飾られるコシノヒロコ氏の作品。まさしく美術館。住まいであったことを感じさせません。素直に気持ち良い。
二人空間に浸り、促されながら安藤氏のスケッチが飾られた廊下を渡り、円弧の壁に囲われた寝室へ。そしてダイニング。どこに立っても時間の流れがゆったりと感じられます。
増改築を繰り返して今の姿となっていますが、初めから計画されたひとつの建物のようにしか感じられないことにも、ちょっと驚きです。

しばらくすると、我らと同じく休館を知らず来られたひと組がありましたが一巡してすぐに引き上げられので、ほとんど二人で小一時間、広いギャラリーの中を貸切で滞在させていただいた感じでした。
休館にお付き合いいただいた学芸員さんには申し訳ないばかりですが、よい経験をさせていただきました。本当にありがとうございます!

こんなトコ住んだら、感覚も変わるやろうな〜。羨望混じりのヨメさんのつぶやきはきっと誰もが感じるでしょう。建築の強さを久しぶりに感じるひと時でした。

後日、アンタダ講演会に当選したヨメさんは只今嬉々としております。

びっくりポンやわ!KEIZO HOUSE

ともかくギョギョっと、スケールに圧倒された一昨日の休日。

石の彫刻家・牛尾啓三先生からのお誘いで、ドイツで参加された国際彫刻シンポジウムでの制作報告会に伺いました。会場は明治期の古民家で、先生の私設ギャラリー?です。

去年のうちから先生のフェイスブックで古民家を購入し、修繕する様子が時折紹介されていました。なにやらゴツそう。。。とだけ垣間見ていた訳ですが、この度晴れてお披露目?に参加させていただいた訳です。一緒に行ったヨメさんはテンション急上昇の様子。
何しろ報告会の会場は二階の100畳敷きの間? それを聞いただけで、なんじゃそれ?って具合です。元は両替屋?銀行?・・・商家との事ですが、スケールがデカすぎでした。頂いた資料に目を通せば、建坪120坪の母屋に蔵やらがくっ付いて延べ床だと300坪を超えています。二階の間は当時、今とは交通事情が違いますので旅籠がわりに使われていたそう。
いやいや土地の面積の間違いでは?と思いそうなぐらい大っきなお屋敷だった訳です。先生らしいと言ってしまうとそれまでですが、ともかくたまげました。

何よりこのお屋敷を所有しようと考える先生のスケールがデカすぎです。この後は、イベントの会場や海外からの来賓向けのゲストハウスにしたいのだそうですが、正月には一人で廊下を磨いていたとか、台風の時は心配で泊まりに来るのだとか。何とも気さくな人柄が、これからますますスケールを大きくする気がしてなりません。

牛尾啓三 × 濱中裕明「芸術と数学の出会い」

以前に仕事でお付き合いさせて頂いた彫刻家・牛尾啓三先生からFacebookの案内があって、姫路の手前になる別所と言うところで「サイエンスカフェはりま」という対談イベントに参加してきました。

気さくな人柄の牛尾先生とお会いしたのはカレコレ10年程前、それ以後は事あるたびに展覧会の案内や近況報告を頂いていました。が、お会いする機会はなかなかなく、今回は案内のイベントが面白そうな事もあって時間を作りようやくお会いしに行く事ができました。
海外でも活躍されている牛尾先生の作品の多くは大きな石の彫刻ですが、メビウスの輪をモチーフにされるなど幾何学的でもあり有機的でもあり、造形の不思議さが魅力です。一番大きな作品だと元の石は30トンにもなるそうですが、それを身体ひとつで削岩機などの道具を使い削りだして行きます。例えばドーナツ状に削りだした形をある規則に沿って割って行くことで、頭では理解はできても観ていると理解を超えて不思議な形になっていくのです。
そうした造形が評価を生んで、世界の数学者の方々が興味をそそるのだとか。結果、数学者の国際会議のイベントに招待されるまでに。今回のイベントは日本で初めての数学者とのコラボレーションだとか。

もうひと方、数学者濱中裕明先生のお話は牛尾先生の作品を分かりやすく数学パズル風な解説をされ、加えてさらに発展した造形の不思議さを紹介していただきました。自作の小道具もこまめに用意され、実際に簡単な遊びも加えられ時間一杯楽しい話を伺えました。

イベント後もそのまま懇親会に参加させていただき、牛尾先生の海外での武勇談や文化論?に元気づけられ、濱中先生が予め用意までされている?数学マジックに皆が机を囲んで悩み、幅広い層の参加の方々としばしの歓談を楽しみ、久しぶりに身体も頭もリフレッシュ出来た一日となりました。