アニメ映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」

 「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の劇場公開が終ると聞いて観てきました。実は2回目。一緒に行ったヨメさんは3回目。熱狂的なファンか?と問われると、そうでもない。エヴァンゲリオンを劇場で観たのはコレが初めて。

 TV放送もリアルタイムでは観ていなかった。きっかけが何か忘れたけど、ビデオを借りてひと通り観たのも随分後のことである。その時少し間盛り上がったもののその後はプッツリ。別な映画で流される新作公開宣伝フィルムを観るたび、なんだか前より映像凄そうよね〜なんだか前より面白そうだよね〜と気になりながら結局素通りしてきてしまった。

 庵野監督に注目していたわけでもなかった。むしろ得体のしれないオタク臭さ(失礼!)を避けていたかもしれない。奥様・安野モヨコ氏の漫画「監督不行届」をヨメさんが買って持っていたのだが、手に取らずまま。今ごろになって、そう言えば庵野監督の漫画無かったけ? ん、アンタ興味を示さなかったから古本屋に売ったよ、ヨメさんは結構あっさりしている。

 ゴジラ目当てで行った「シンゴジラ」を観て、作品よりも監督自身を改めて気になり始めたと言ったほうがむしろ正しい。庵野監督が取り上げられた某テレビ局のプロフェッショナル番組を観て、なんかわがままな建築家だなあ、スタッフご苦労様。と監督がさらに気になってしまった。エヴァの話の筋は正直忘れたけど、25年もの間、ずっと人を惹きつけてきた話の完結をどう締めくくるのだろう?何をするのか?しでかすのか?やっぱり観ておきたい。と正直思った。

 ありがたい世の中である。最終版公開前のネット配信でこれまでの劇場版3作を観て、予習を始めた。あ〜こんなお話だった〜気がする。2回ずつ観たぐらいでは「にわかファン」の装いにも充分でないが、真面目に「シン・エヴァンゲリオン劇場版」に臨んだつもりである。

 劇場版を観た1回目。正直何を書いて良いのか分からなかった。2回目。やっぱりよく分からない。
 ん、なんなんだろう?でも確かに面白い。
 どうなるの?どうなるの?と思わせておいて、さらに終っても、どうなるの?どうなってるの?と思わせる。イヤな監督である。
 でも25年を経て消化不良も便秘とも思わせなかった。凄い監督かもしれない。

アニメ映画「トゥルーノース」

 この映画を「アニメえいがのひとつ」と思って通りすぎてしまうのは、なんとも惜しい気がします。1週間前に観てきましたが、未だ衝撃的な印象が残っています。北朝鮮の収容所で生き抜く家族の物語。そうひと言で片づけるのは心許ないですが、実情をさして知らない自分がツラツラと語ることは憚られる。そんな映画でした。

 清水ハン栄治監督は、在日コリアン4世。現地取材をはじめ脱北者や元看守の方々へのインタビューを重ね、10年を費やして完成させたそうです。人々の心に留めてもらう為にもエンターテイメントとして観られるものに仕上げた、と言う監督自身の言葉ですが、正直とてもそんな気分だけで観終えることはできません。
 ストーリーそのものもありますが、ひとつひとつのシーンが非常に洗練されていることが分かり、表現として慎重にバランスの取れた抽象化がされています。それでもなお、重層な現実をオブラートに包んでいることがつぶさに感じられるのです。
 アニメーションとしてもとても素晴らしい作品だと思いましたが、この映画はドキュメンタリーなのか?しかも現在進行形なのか? そう思いにかられながらエンドロールを眺めていました。

 近くて遠い国。そこには同じ時間を生きているとは思えない衝撃とともに、自分となんら変わらない人々が生きている事を確信することも出来た気がします。

アニメ映画「ロング・ウェイ・ノース」

 久しぶりにどこまでも清々しいアニメーション映画を観ました。絵本がそのまま動いているような映像はどこまでも奥行き深く、素直に観入れるストーリーはどこまでも潔い感じがします。

 最近の手の込んだアニメや映画を観ると、その瞬間はワクワクどきどきオモシロ〜い!スゴイな〜と感心するのですが、なぜだか後に残りません。しばらくすると、アレ?どんなだったっけ?・・・スッカリ忘れている。だからと言って、改めて映画館で観たいと思うことはほとんどありません。ですが、今回のロング・ウェイ・ノースは見終わった瞬間にもう一度観たい気持ちに駆られました。エンドロールが流れた時には、あ〜もう終わってしもた。。。緻密なシンプルさ加減、アニメならではのリアリティが本当に心地良く、魅了され、すっかり時間を忘れていました。

 金太郎飴のようにどこを切っても素朴な美味しさが味わえる。そんな映画です。数々の賞を獲りながら完成から3年越しでの日本公開だそう。
 決して同じでありませんが、時代をさかのぼり幼いころに観た良質な東映動画を思い出します。映像の裏側で制作スタッフ全員がイメージを共有し、一丸になり作品づくりに打ち込んでいたのだろう。そんな様子をどこか感じさせる快作です。
 是非一度ご賞味のほど。