川島織物

今日の午後は京都市左京にある川島織物へ社会見学。
古い染織品の復元について講義を受けたり、
20Mを越す大型の織り機から織られる劇場などに掛る緞帳(ドンチョウ)の製作風景や、
昔ながらの織り機で作られる着物の帯の製作風景などを見学したり、
博物館に展示された織物やその下図を鑑賞してきました。
川島織物と言えば織物業会では大手ですから、実は行くまで、
機械化された工場の風景を見るのだと思っていたのですが、
実際見学した工場は、美術工芸を中心とするまさしく匠の手作業の現場でした。
もちろん一方で機械化された工業製品もあり、先端の技術の紹介も受け、
また一方で、正倉院に納められている古代の美術品の復元作業など、
伝統を守りつつも現代にその技術を生かす巾の広さに驚きました。
凄いもの作りの現場に出会えた気がします。
3時間の見学があっと言う間でした。

有限会社 造形企画【カニ看板】

会社名の書かれた大きな扉


JR大和路線の史紀駅を下車し徒歩10分ほど、古い工場や住宅が渾然一体とした下町的な住宅地の突き当りに、大阪道頓堀の三代目カニ看板を製作された有限会社・造形企画があります。近作では、高さ17メートルにもおよぶ「安売量販店ドンキホーテ」のレリーフを作られたそうです。その店舗はカニ看板と同じ道頓堀に来春オープン、大阪の新しい名物看板が誕生します。

社長の岡田修さんは現在57歳。もともと立体造形に強い興味を持ちながらグラフィックの勉強をされていた高校生の頃に、平等院鳳凰の原型模型を制作する京都の造形師の方を知ったのがこの道に進むきっかけとなりました。弟子入りを希望しましたが諸事情もあって断念、しかしその時にゆずっていただく事ができた鳳凰の頭像を今も大切にされています。
グラフィックデザイン事務所・店舗設計施工会社などを経た後、27歳の時に本格的に会社を設立し、すでに30年この道を続けていらしゃいます。

社長の岡田さん

ベースになるデザインが渡される仕事であっても、ここで生み出されるオブジェの詳細なアイデア、デザイン、設計はすべて社長さん自身がすべてをまとめています。凹みや傷に至るモノの質感にこだわり、それを忠実に再現するスケールの大きいFRP模型が造形企画の得意分野。会社のパンフレットをめくると、写真では本物と見分けのつかない様様なオブジェクトが並んでいます。
依頼の中にはデザイン画も無くサメとエイを作ってくれ。といった話もあるそう。全てが岡田さんのイメージに任されます。テーマパークのUSJでは、入園門の頭上にある地球儀のようなシンボルマークのオブジェクトも社長さんの作品のひとつ。園内の建物ファサードのいくつかも手掛けられています。街の中を歩いていれば、知らない間にいくつもの作品を目にしていた事に驚きました。

工場には、大きな発泡スチロールの塊を刻む大きなヒートカッターがならんでいたり、大小ざまざまな型がところ狭しと並んでいました。原型は発泡スチロールや粘土を使いますが、岩などのリアルな表現が必要な時には実際のものを使うこともあるそうです。それらをシリコンゴムで忠実に型取りし、FRPで成型しつなぎ合わせ、こまかな部分を修正しながら下塗りを施し、仕上の塗装を行います。
木や石や質感を再現するためにいろいろな工夫をしながら塗装したり、時間を短縮しながら完成させるための材料の選別など、創意工夫の研究は怠りません。お話を伺う中では、そんな時間で作ってしまうのか~と思う事もしばしばです。


左:屋上に無造作におかれたオブジェの型・奥に見えるのはマックフライポテト!?
中:忠実に再現された岩肌
右:奥に見えるのは原型を作る発泡スチロール・手前に見えるのは彩色前の柱型模型


FRPの可能性に信頼を置く社長さんは、自宅の建設の際に内外共にさまざまな部分で自作のレリーフや部品を使われていもいます。自宅にも使う事で、信頼出来る材料であると証明したいのだと話されていました。
仕事はデザイン事務所や設計事務所からの依頼が多いそうですが、予算あってのこと、はじめ良かったデザインがそうした制約でつまらないものになってしまうと意味が無い。日本の企業はそうしたところにお金を渋るのが駄目だとまで言われます。そんな社長さんが最後に、予算に縛られず自分の店でとことんやりたい、と言われたのが印象的でした。
とは言え、予算の事など考えず制作に没頭されていそうな勢いが岡田社長さんの魅力かもしれません。

大事にされている平等院鳳凰の頭像


【案内】 
有限会社 造形企画
ゾウケイキカク 岡田 修
大阪府八尾市弓削町南2丁目28番3 TEL:0729-48-2417

【参考サイト】
道頓堀の三代目動くカニ看板
・・・技あり関西|読売新聞大阪

辻和金網【京金網】

看板も金網で囲われています
看板も金網で囲われています

京都に金網の伝統工芸があると知った時、正直ピンと来なかったのですが、よくよく考えてみると生活に密着した工芸品が京都には数多くあるので当たり前だったのかも知れません。
地下鉄の烏丸御池の駅から堺町通を北へ少し上がったおおよそ10分ほどのところに「辻和金網」さんのお店があります。周辺はマンションが立ち並びはじめ京都らしさが消えつつある一画ですが、近くには「キンシ正宗・堀野記念館」など酒所もあり、あまり知られていない京都の一面 が見られる界隈です。(地ビールもあったり。。。)

「辻和金網」は創業70年にもなる金網細工の老舗。2代目店主の辻善夫さんは50年になる職人技で茶こしや湯豆腐杓子、水きり網など、料亭から一般 家庭に愛される金網製品を手作りで制作されています。 永年の創意工夫で手作りだからこそできる、丈夫で長もちする生活用品を地道に作り続けられています。
当然オリジナルですから単に商品として規格の物を作るのではなく、持込まれた急須に合わせた茶こしや食器に合わせた水きりなど、板前さんやお客さんの細かな要望にも応え、修理を頻繁に行い、使い捨てでは無い味わいのある道具が生み出されていくのです。


銅やステンレスの細い針金を規則正しく編み上げていくだけ。道具も少なくたったそれだけのことなのですが、思いもよらない美しい造形があります。特に器形の製品は底の中心から花びらの様に編み目が拡がり、万華鏡のように間で継ぐ事も無く上口まで一気に、一本一本の針金が編み上がっています。商品を手にとって思わず見愡れてしまいました。
手にもすごく馴染む感じがし、普段見慣れた機械製品とは違った温もりがあります。

手作業であみ出される幾何学模様
手作業であみ出される幾何学模様
実習まえの実演
実習まえの実演

修学旅行の学生などに体験実習を受け付けるなど、伝統技術を広める努力もされていますが、この日、私も湯豆腐杓子の網掛けをさせて頂きました。
実習前に辻さんのご長男泰宏さんにお手本を見せていただきましたが、手慣れた指さばきで何気なく整然と編み目が出来上がって行きます。いざ挑戦するとそうはいかない、力の入れ具合や気持ちの乱れがそのまま出るかのよう、あらぬ 方へ網目が崩れてしまいます。 出来上がった杓子は自宅の台所に並んでいます。
帰りに茶こしも購入し事務所で使っていますが、とても使いでが良く満足しています。何よりも豊かな感じがします。まだ真新しい光った銅線が、時が経ち味わいのある色となっていくのが楽しみになっています。

店と作業場の様子
店と作業場の様子

 


【案内】
辻和金網
ツジワカナアミ 辻善夫
京都市中京区堺町通夷川下る亀屋町175
TEL:075-231-7368

【参考サイト】
DigiStyle京都
・・・京都情報。ネットショッピングも出来ます。
朝日マリオン・くらしの良品探訪
京都小売商業支援センター

左側は私が編みました
左側は私が編みました