完成写真が届きました。

 完成写真の届いた「NURIKABE/XX-PLUS」をようやくアップしました。

 もちろん施主さんは既に引越して新居に住まわれています。今月初旬に手直しなところもあって訪問。気持ちよく住んでいます、の声を伺いようやく安堵しているところです。

 計画紹介ページにも書きましたが、今回の住まいでは敷地の条件もあり将来的な採光に気をつかいました。街中の住宅にはありがちですが、数年後に目の前に背の高い建物が建ってしまい、光も入ってそれまで気持ちよく過ごせていたリビングが台無し。そんな事態にならないよう設計では3Dも使いながらの検討もしています。便利な時代です。
 計画場所をGoogleマップと連動してプロットできるので、太陽の光が四季を通じてどんなふうに当たるのか?(おそらく)いい具合に検討ができます。頼りに作ったモデルにできた明暗の様子は、現場にいる間もほぼ同じように陽が当たっていました。将来想定外の事が無い限り、気持ちよさが確保できるはず。

 そのほか計画で考えた工夫など都度ご紹介できればと思います。まずは、写真家さんに撮っていただいた素敵な完成写真をご覧下さい。

検討中の3Dモデル内観(2階の窓から吹抜けの壁に光の当たる様子・秋分の正午ごろ)
検討中の3Dモデル外観(実際はここまで建物に囲まれていません。)
検討中の3Dモデル内観(朝のリビング。11月下旬の10時ごろ)

セミナー「江戸時代の大工さん」- 大工頭中井家と大工組 –

江戸時代の作事願書
昔の確認申請書。墨の印鑑がなにやら恰好良い。

 大阪くらしの今昔館館長・谷直樹先生の講座を聴きに行きました。

 江戸時代に活躍する中井家という大工頭の系譜や実績を1時間半、憶える間がないほど次々と紹介された濃密な講義でした。スライドも盛り沢山、興味深い話もいっぱい聴けたのですが、情報量の多さにナニがナンだったか既に分からなくなってます。(笑)
 なんとか思い出せるところをいくつか。。。

 まず中井大和守(やまとのかみ)初代・正清という人物。徳川家康に抱えられ二条城・江戸城・名古屋城など名だたるお城を次々と建てた大工棟梁の親分です。そして、十万石大名と肩を並べる従四位下と言う役職を授かっていた事は、大工という職業人では前代未聞。
 時代も時代、城郭を建てるにはスピードと技術が必要、ひと声掛ければ全国のスゴ腕大工を集められる、今で言えば大工協会会長?です。話によれば、急を要した名古屋城の天守閣は、集めた大工で3ヶ月の突貫工事で建てたのだとか。現代ではそこまで技術ある大工さんが揃わないので、1年や2年間違いなく掛かるそうです。もし建てられなかったら打ち首になったのかもしれませんが、想像するだけでも驚愕な話です。

 その後も繁栄続く中井家は、お城だけでなく寺社仏閣・御殿も次々仕事をこなします。数もあるだけ技術も上がりゼネコンさながら、日本の文化遺産の多くは中井家無しにあり得ません。またそうした仕事の資料が今の中井家に数多く残され、それらを読み解くことで歴史も辿れます。いわゆる施工図が残っているので、それを頼りに史跡を探ることも度々。そこから新たな歴史の解釈もあり得る訳です。
 建築士に身近なところでは、江戸時代の作事願書(今で言う確認申請書)の実物を拝見しました。当時の贅沢禁止令から庶民は必要以上に大きな建物を建てさせない規制がありましたが、そうした規制から逃れたどうみてもサイズオーバーな違反建築も資料から推測できるとか。

 他に面白いところで、渡来した象を将軍さんが見物するときの設営図とか。(余談では、その後の像のエサ代が偉いことになっていたそうです。)。。。などなど、谷先生は話が尽きない様子でした。

 講義最後にオマケ話もいただきました。谷先生はNHKドラマなどの風俗考証などもされているそうです。今、放送中の「スカーレット」も。
 ドラマに現れる街の風景には、突き当りのT字路セットが多く観られる筈。普通の十字路交差点では、ずっと先までセットを作るのが大変だからです。江戸の風景には本来T字路は少ないはずなのだけど、もろもろ諸事情から。。。
 ほ~、なるほどなるほど。

山下和美 著「数寄です!」

山下和美 著「数寄です!」
古いiPadが、今はコミック専用機になってます。。。

 昼食に、ヨメさんが用意してくれる弁当を事務所で頬張りながら、電子コミックを読むのが実は最近の楽しみになっています。お行儀よいとは言えませんが、食事の間に2~3話ぐらいを読みます。たまに面白くなって続けて読んでしまうことも。

 最近は、山下和美の「数寄です!」3巻+続2巻の計5巻をようやく読み終わったところ。ご存知の方も多いかと。

 作者さんが、数寄屋の自宅を建ててつつ数寄者を目指す奔走エッセイコミック?。和風好きな若い建築家と偶然に出会うことから、数寄屋づくりをはじめるのは一般的な家作りから見るとちょっと特殊かも。けれど読み進めると、ちょっと気負って設計士と家作りを目指す方には取りかかりのイメージになります。数寄屋である必要はなく、今風な建築事務所との付き合い方の参考にもなると思います。

 作者自身の個人的な経験を元にしているため、万人向けではないかもしれません。
 ですが、家作りをする本人の視点だけでなく、設計者サイドのことやその付きあい方、住まい作り周辺・その後の様子も描かれ、一般的な家作り本では見ることのない個性的な家作りのプロセスが、幅広い視点で描かれているように思います。また各話ごとに設計者のコラムやインタビューが用意され、建築のことだけでなく和風入門書にもなりそう。実は結構、感心しながら読んでおりました。

 以前に「漫勉」と言うNHK番組で、この山下邸が映し出されていました。
 うわ何!?、この漫画家さん、エラい渋いところに住んでんナ~、なんて思っていたのですが、そのタネ明かしを教えてもらった気分。設計者(作中では蔵田さん)も実在の方で、山下邸をきっかけに数寄屋建築家として活躍されるようになっています。

 これから住まい作りを考え始める方に是非、参考に読んで楽しんでいただけたらとご紹介します。

 そういえば、読み途中になってしまった山下和美の「ランド」。その後が気になり始めました。。。