
ロイ・アンダーソン監督(スウェーデン)の新作。分かってはいたけど、なんや不思議な映画でした。
少し前、この監督の前作「さよなら、人類」と言うのを、Amazonの無料配信にみつけ見入っててしまった。セリフは少なく、カメラもほぼ固定。計算されつくした画面の中で、人々の悲喜劇を切り取って映し出します。ショートストーリーの繋ぎ合わせで知的なコントとも思えるような可笑しさがあり、なにがあるわけでもないのに笑いがこぼれてしまう。
新作公開を見付け、これは大きな画面で観てみたいね。とヨメさんと行ってきました。
パンフレットの製作記事を読むと、ロケはほぼ無くほとんどがスタジオ撮影。遠景に見えるのは製作された模型であったり、巨大な背景画のようだ。3Dはほとんど使わずアナログな製作にこだわってるとのことだが、映像で見ると虚像とも実像とも判断のつかない不思議な遠近感に惑わされる。目を凝らしてもつくり物に見えない。リアルとシュールの境界のような絵画のなかで、人物が演じている風に見えるのです。
ネットに「神の目」と評したコメントがありました。監督の目から見た人々の可笑しな行動を、愛おしくもどこか覚めた目で丁寧に観察し、ひとつひとつ拾い上げて箱庭の物語にしてみた。そんな感じがします。
ここまでの説明でお察しの通り、好き嫌いありそうな映画。しくじらなくても?気持ちよく寝てしまえそうな映画です。観客は20人いたかどうか。三席向こうに座っていた男性は映画が終わっても気付かず、そのまま気持ちよく寝つづけていました。映画館の方に起こされる様子が、まるで映画の続きを観ているかのようでした。