KHギャラリー芦屋(旧コシノ邸)|安藤忠雄

この日曜日、台風の接近間近に安藤忠雄設計のKHギャラリー芦屋(旧コシノヒロコ邸)にヨメさんと二人で行って来ました。4〜5年ほど前から、一般公開されています。
ギャラリーのHPで開催中展覧会の最終日と見つけ晴れている午前中のうちなら〜、慌てて到着すれば、エ?扉が閉まっている!
玄関先でオロオロしているところに、中の学芸員さんが気づいて出て来てくれました。実は展覧会は好評で会期延長、さらに台風接近で今日は休館のインフォメーションを告知していたのですが、、、と聞かされ唖然。そこをナントカ折角だからと、食い下がると学芸員さんは親切に開けてくださいました。スミマセ〜ン。

厳かに中に入らせてもらうと、まず和室と大階段。そのまま吹き抜けのリビングが続きます。なんと言えばよいのか、安藤建築に出会えた感触が湧き起こりました。適度に余裕をもって飾られるコシノヒロコ氏の作品。まさしく美術館。住まいであったことを感じさせません。素直に気持ち良い。
二人空間に浸り、促されながら安藤氏のスケッチが飾られた廊下を渡り、円弧の壁に囲われた寝室へ。そしてダイニング。どこに立っても時間の流れがゆったりと感じられます。
増改築を繰り返して今の姿となっていますが、初めから計画されたひとつの建物のようにしか感じられないことにも、ちょっと驚きです。

しばらくすると、我らと同じく休館を知らず来られたひと組がありましたが一巡してすぐに引き上げられので、ほとんど二人で小一時間、広いギャラリーの中を貸切で滞在させていただいた感じでした。
休館にお付き合いいただいた学芸員さんには申し訳ないばかりですが、よい経験をさせていただきました。本当にありがとうございます!

こんなトコ住んだら、感覚も変わるやろうな〜。羨望混じりのヨメさんのつぶやきはきっと誰もが感じるでしょう。建築の強さを久しぶりに感じるひと時でした。

後日、アンタダ講演会に当選したヨメさんは只今嬉々としております。

セミナー「刃痕から大工道具の歴史を探る」

先日、昔の木造建造物の部材に殘る刃物の痕跡から当時使われた道具や年代を調査されている学芸員さんの話を、竹中大工道具館で開催のセミナーで拝聴しました。

斧 オノ、鑿 ノミ、鋸 ノコ、鉋 カンナ。木を切ったり削ったりする刃痕(ジンコン、ハアト)は、それぞれの発達具合や過程で殘る形が違うのは頷ける話。絵巻物などの古文書に殘る建築現場の様子も参考に、どんな姿勢でどんな風に使われたのかを想像するのは、ちょっと楽しそうです。
簡単に想像できるものもあれば、併用されて複合的に考えないと謎解けないものもあるでしょう。いくら考えても分からないものもあるようです。

学芸員さんは、お堂の屋根修復現場で携わった野地板の調査の際、時代を経て幾度か修理されている経緯を野地板に残る刃痕から読み取ることができたのが面白く、研究を始めたきっかけになったそうです。そうした刃痕を追いかけて修復現場、発掘現場に出向き、写真や摺本(乾式拓本)を整理し、まつわる文献を読み解いた最近の調査事例をいくつか紹介していただきました。お話は、建築道具を通しながら昔の人々の営みを夢想されているかのようでした。

一方、今の建築ではどんな痕が残るのだろうか?と考えてしまいます。

調査の話は、どうしても寺社仏閣のどちらか言えば立派な木造建物が主ですが、多少の差こそあれ当時の一般建築に使われていたものと大差ないように思われます。
しかし、現代の一般建物はとなると、機械化されたプレカットの痕?、電動工具の痕?、でしょうか。そもそも簡略化されていく工事に人の手の痕さえ残りません。そうして考え始めるとちょっと寂しいものがあります。

刃痕の話から逸れますが、熊本地震によって崩れた熊本城の石積み修復の話をテレビで観ました。修復前の調査によって、築城当初の古い石積み「武者返し」には被害が少なく、戦争などその後の修復工事を施した石積みの箇所がむしろ脆いことが分かったそうです。熊本城の「武者返し」は当時の地震対策を加藤清正が経験を積んで完成させた技術であったということが、とても興味深いものに思えます。

刃痕をさらに掘り下げれば、先人の知恵が思わぬところに隠されているようにさえ思えます。脈々と培われて来た技術が、経済性に追いやられず、現代の建築現場の道具や工法にしっかり取り入れられていくことを望みたいと思います。

また、熊本城の修復をする建設会社の技術はスゴイものと同時に感じます。現代建築の技術にはとてつもなくスゴイものも数多くあります。こうした技術がいずれ、先人の知恵のひとつとして残っていくのかもしれません。ただこうした技術は人肌から遠く離れた感覚があります。もっと身近に感じられる知恵の伝承も増えれば、住まいや暮らしを豊かに感じるようになれると思えます。

西宮浜探索

このところ、ご近所が騒がしい。と書くと語弊があるが、気になる議題とあって近頃は町内会の集まりにまじめに幾度か出ています。

たまたま縁があって住み始めた場所は、浜手のとても環境に恵まれた場所。そこは、自然環境の保全を求められる重要な地域のひとつだったり、すぐ近くには史蹟もあったり、自然災害や南海地震に備えた防潮堤整備や河川整備の必要もあったり、いろいろな環境に関わる諸事情を持っている。さらには、近隣の町にマンションや大型スーパーなどが立ち並び近年あれよあれよと人の数が急に増した。砂浜を抱えたリクリエーション地域にもなるので、以前より夏にはバーベキューのゴミやら花火の騒音などマナーの悪さに頭を抱えるご近所も方々も多い。

そうしたアレコレで必要にせまられる住環境改善の要望や、イロイロ続くことになる整備工事での安全確保に対し、町は市や県の対応にひとつひとつ反応をしめしている。

呑気に暮らしているなと言われればそれまでだが、町内会に出て初めて、自分が住む地区にはいろんな問題を抱えていることを知ることになり、住人の一人とし、もっと近隣の様子に興味を持っておく必要があると今更ながら感じています。

前置きが長くなりすぎました。難しい話を続けたい訳で無くこれもきっかけで、自分の住む町や市のことに興味が増したところ。
この日曜日は、嫁さんと対岸埋立地一周の散歩。あまり行く事ないあたりまで足を伸ばし、散歩のつもりが子供気分のちっちゃな探検となりました。

見学会「農業研究開発センター・なら食と農の魅力創造国際大学校」

1週間ほど前、大規模木造の完成見学会に行って来ました。奈良県桜井市に完成した「農業研究開発センター・なら食と農の魅力創造国際大学校」というところです。主催は、こうした大規模木構造を多く手がけるSMB建材株式会社さんで、1時間ばかりの説明会付き。同日に3回あり参加したのは夕方の最後の回ですが、大勢の方が来られていました。

交流サロン棟

農業研究開発センター・なら食と農の魅力創造国際大学校
交流サロン棟

見学会メインの建物。楕円形平面の2階建て、延べ床面積 1351㎡ あるそうです。中心にある円形の越屋根(飛び出た屋根部分)が特徴的です。構造に使われているのは国産の唐松集成材。その他奈良県産杉集成材、ひのきなどが使われているようです。

現場管理棟や本館

研究農場に並列したこの現場管理棟は棟の使用上、外部に向かっての開口部が多いため、耐力壁の配置が難しかったそうです。家形なので、円形のサロン棟より木造らしさが素直に感じます。また、現場管理棟とサロン棟の間にある本館はRC造ですが、木ルーバーを外部に使うなどで、積極的に木質化をされています。

保育所に携わる機会もあって、大型の木造園舎などこうした大規模木造には興味があります。雑誌やネットで見かける海外物件にはカッコいいものもありますが、なかなか実際に見る機会がありません。

そんな気持ちでやって来た訳ですが、説明会の際にRC造ぐらいの予算が必要とお話しがあり、補助金の利用や、公共事業でのスケジュール管理がなかなか簡単ではなさそうな話を聞くと、安易に手出しできないこともよく分かりました。防耐火などの法的規制も含め、古来からある大きなお寺や神社を継承しながらの大規模木造や、木造住宅のような木の良さを全面に押し出した大規模木造が身近になるには、まだしばらくハードルが高そうな気がします。

ですが、さらに洗練され日本の建築文化のひとつとして中規模や大規模の木構造建築が時を経ていまに根付くことができれば、衰退する林業の再生、放置された人工林の地滑り災害予防、二酸化炭素の削減など未来の社会や環境に大きく繋がるのでしょう。
自分がそんなひと役になれるかどうかは時の運として、こうした見学会や勉強会に参加する機会はできるだけ作りたいなと思うこの頃です。

それはそれで見学会中、荒川弘の漫画「銀の匙」をニヤニヤ想像してしまったのは、僕だけだったでしょうか。( アニメしか見てないのですが。。。)