セミナー:安藤忠雄「生き残りを賭けて」

安藤忠雄アイカセミナー

昨夜、ヨメさんが行きたいと言った事もあり、応募に当たった安藤忠雄氏のセミナーに行きました。建築関係のセミナーはボチボチと行っていますが、建築家の講演会はこの以前に行ったのがいつか思い出せないくらい久しぶり。それでも安藤氏の講演会は、過去3度くらい行っているはずで、最後は書籍「連戦連敗」出版の頃になる。

どことなく”あまのじゃく”になり、建築家の話に素直に耳を傾ける事ができなくなっているところも無いと言えない。に関わらず、気がつけば安藤忠雄講演会には都合4度目。建築の仲間うちでも、安藤忠雄氏の仕事を諸手を上げて評価するのをあまり聞く事がない。でも、「安藤さん」なのだ。コレは考えるもなくスゴい事。今回も適当に聞き流しておこうなんて未だに斜交いな態度であったはずが、話が始まって約2時間の講演に眠気も無く最後まで聞き入ってしまった。なんて話上手なのだろう。

大抵建築家の講演会と言うと、よく分からない単語が並んで話半分も理解出来ない。ことが多い。抽象的な比喩が並び、具体的なイメージをすぐに連想出来ないからだ。しかし、日本だけでなく世界でも一番有名な建築家・安藤忠雄の話は壮大なスケールでダイナミックだけど、具体的であり、身近な出来事も話に交え非常に分かりやすい。これがまた、「安藤さん」たる所以に思えなくもない。

日本の未来を想う話、政治に任せず各自が自立し挑戦せよと言う話。事務所設立頃の話、六甲の集合住宅一連にまつわる話。そして近作の話と続き。そして、そろそろ会場の人も聞くの疲れたかな〜と雰囲気漂い出した頃、「ありがとうございました!」と、スパッと切り上げる様に、帰り道のヨメさんは思わずカッコイイ!と絶賛しておりました。
確かに「生き残りを賭けて」とは、その話の中身よりも、この話しっぷり、見事なパフォーマンス、そして潔さ。安藤さん自身の「立ち姿」そのものなのだと想う一瞬でした。

ヨメさんはさらに馴れ馴れしく「あんちゃん、あんちゃん」と、まるでアイドルのようにように呼んでおりますが、建物をそんなに知っている訳ではありません。旦那の職業もあって、他の建築家さんの新聞記事やテレビの番組も見ていますが、「あんちゃん」に到底及びません。
会場が溢れて、ロビーのモニターで講演を聞いていた人もいたそうです。あらためて、建築家「あんちゃん」の人気ぶりと影響力に驚きます。

セミナー「江戸時代の木造建築リサイクル」

IMG_2955

土曜日の午後、竹中大工道具館の「技と心セミナー」に行ってきました。講師は研究員の方で「江戸時代の木造建築リサイクル」というテーマでした。
以前に、尺貫法でシステマティックに構成された日本の家屋は、建具や畳をはじめとしていろんな部材が再利用出来ると言う話を伺ったことがあります。今回は、そうしたリサイクル事情の背景を少し伺い知る事ができたと思います。

日本の昔の衣食住のスタイルは、素材を生かし、資源を大切に使う、共通した考えがあります。例えば着物にしても、羽織が古くなれば前掛けや袋物にし、さらに古くなれば雑巾にする。そうした感じで、モッタイナイを上手に活用しています。きっと誰でも当たり前のように思っているでしょう。さらに、侘び寂びを代表とする古いものも新しくしてしまう斬新な美意識など、アンティーク趣味では無い独特の美意識を日本人は持ち得ています。物事を時空を超えて包み込むような思想が根底にあるのでしょうか。

講座の中で特に興味を惹かれた部分は、ある村での工事記録では居宅が村に82件あり、10年間での新築は1件しかなく、それ以外は修繕や増築で対応しているという話。解体された空き家の部材を土台や鴨居、下地の野材まで村の人たちが、買い付けにきていたと言う帳簿の話。大きなお屋敷では周期的に屋根の修繕が行われ、日常的に大工さんの出入りがあった記録の話。さらに、家一軒の部材を家の奥に貯蔵しているのは珍しくないと言う話。など、当時の生活を伺い知るようなところです。
養父が亡くなり幼い子供では管理できなくなった家屋を一端解体、整理保管し、何年か後に子供が成人したところでまた建て直すと言った話もあるようです。一般の家屋に限らず、お城から寺社仏閣にいたるまで、リサイクルの精神は行き渡っていた様子です。

当時の木材は伐採、製材、加工までの工程は今とは比べられないほどに手間が掛かり、端材であれ貴重だった訳です。だからこそ、材料を長い年月に耐えるようにする加工の技術は高度に成長し、伴い大工道具の発展も凄まじかったのでしょう。ひとつひとつに手間を掛けていたのは、決して一部の話では無かったに違いありません。

話は現代にもどり、ホームセンターに解体した家の部材があったら買う人がどのくらいいるでしょう?釘をきれいに抜いて陳列台にきっちり並べても、材料が新品のものよりずっと良いとしても、梁の穴が残ったりする材料を気持ち悪いなどと素通りし、思ったほどに買う人はいない。そんな気がします。なのに、古材と名打っただけで実はそれほどでもないものを高く買う人もいるでしょう。
江戸時代のリサイクル精神を今に再現するのは、なかなか難しい気がします。
私事では、現場の端材できれいに残ったものがあると、監督さんや大工さんに断り持ち帰る事があります。日曜大工を趣味にしているとは言えませんが、棚板やらなにやら結構使わせてもらっています。反面、使わずままの端材も結構転がっています。

そんな端材を眺めながら、モッタイナイ建築が考えられないものか。それを考える時間がモッタイナイ、なんて思い始めたらますます遠くなるのです。

蓄熱暖炉の住まいが、暖炉雑誌に紹介されました。

IMG_2926

猛暑続きにヘトヘトになっているこの頃ですが、滋賀県の蓄熱レンガ暖炉を作った住まいが、この度「薪ストーブライフ」と言う雑誌に紹介されました。しばらく前に、この暖炉を製作されたマックスウッドさんから取材の連絡を受けていましたが、つい先日、発売されましたと連絡と共に、1冊いただいた所です。

IMG_2921

届いた記事の大きな見開き写真にビックリしましたが、本文記事も施主さんご自身で書かれたものでした。詳細は聞いていなかったので、ストーブライフを満喫している様子をいち読者になりきって楽しく読めました。
これまで鋳物の薪ストーブは納めた事がありましたが、大きさもさることながら費用もそれなりに掛かるレンガ暖炉を、どこまで活用してもらえるのか正直なところ心配でした。結果として工務店さんの協力など暖炉を運用する環境が整い、そんな心配は無用なものだと感じています。今回の施主さんの記事を拝見し、今はただただ羨望の眼差しです。

昨今の自然エネルギーやら再生エネルギーやらのアレコレは別に、暖房器具としてのこの蓄熱暖炉の効率の良さは、正直なところ衝撃が隠せません。もっと運用は大変なものだと考えていました。エコスタイルに暖炉と言った図式に、どこか馴染めないところがありました。ところが今回の蓄熱暖炉に関わらせて頂いたおかげで、少しだけ運用のシステムを考えれさえすれば、もっと一般的に使える方法にもなるのだと考え直すきっかけになったと思います。
当たり前に思っている便利さ故に、考えることさえ止めてしまったのかもしれません。興味が湧いた方には是非、施主さんの文面を読んで頂ければと思います。

*:既に発売されていると思いきや、出版社サイトでは近日発売と! 書店等での購入はしばしお待ちを。(7月13日現在)