取手いろいろ

先日完了した住宅Cavaでは、木製建具の取手を制作させて頂いています。見学会の際に好評だったのが、ランマの取手。アクリルの板をそのまま溝に滑らし、締め切ったときに両端の木の手掛かりが重なるようにしています。

古い建物を見学に行って、気になるのはいつも窓やドアや障子やフスマ。(多くは)動くことのない建物の中で建具は古来より動く装置ですから、建築に彩りを添える要素になります。なので、どうしても気になってしまいます。今までの物件のなかで一番木を見せた建物であった事もあり、金物など他の要素を出来るだけ控え、素朴さもありながらモダンで、かつ木の手触りが楽しめるような建具をめざしています。手の込んだ事をお願いしたので、少しでもコストを押えられる様、現場の造作で余った材料を建具屋さんにできるだけ利用してもらいました。

そうして出来上がった建具を施主さんに長く使い込んでいただき、より味わい深くなってくれると良いなと願っています。

竣工写真の撮影が終了しました。

月末の引っ越しを目前に写真家Kさんにお願いした竣工写真の撮影が無事終了。天気予報は晴れでしたが、現場に向かう途中やや雲が多いのでちょっと心配しました。が、午前中はおおよそ晴れたのできっと良い写真が撮れたと思います。と言うのも、撮影中は写した画像を見せてもらっていないので。

Kさんに丁度一年前WAONの撮影をお願いしたときは、フィルムカメラとデジカメの両方をぶら下げて撮影されていましたが、今回デジカメ一本でした。以前はガシャガシャとフィルムの交換がどことなく職人っぽくて良かったのですが、デジカメになるとそうしたところがないのでどことなく撮影に臨んでいる実感が薄い感じがします。しかも建物規模からイメージしていた撮影時間よりずっと早く終わってしまったので、なんとなく不安になり。つい失礼とは思いつつも、何枚ぐらい撮ったのですか?。と聞いてしまった。
そやね,同じカットもあるけどおそらく100カットぐらいかな。選別して70カットぐらいを見てもらう事になるんとちゃうか。選ぶん大変やで〜。
これまでの撮影に付き添ってフィルムだと、撮影に1.5倍くらい時間を掛けて、カット数は30〜40カット。おおかた倍ぐらいのカット数と言うことになる。時間も短いから3倍近い計算になる。ひえ〜そうなんだ。

夜景の撮影まで間があるので、Kさんが現場を抜けた間に自分で撮ってみる。3時間ほどで150枚くらいになった。ただ帰ってパソコンで眺めてみると結構なんだか駄作が多い。そう思うとやっぱりプロカメラマンはスゴいものです。撮った枚数と出て来た写真の数はそんなには違いませんから。

でもやっぱりフィルムで撮ってもらった方が、なんだかお願いした甲斐があったりします。いくらプロにお願いしていてもコンタクト(フィルムのベタ焼き)が上がってくるまで、ちゃんと写ってんのかな〜っていう一抹の不安もまた楽しみだからでしょうか。やっぱり古いのかな。

本当の活躍は来シーズンに持ち越しなのが、残念。

蓄熱暖房機

見学会の終わった物件に本日、蓄熱暖房機の設置。日本スティーベル株式会社のエルサーマットと言う置き型タイプの商品。丁度一年ほど前に完成したWAONにはじめて採用しましたが、寒さに弱い設計者としては蓄熱暖房の心地よさは使ってみるほどにお薦めしてしまいます。蓄熱暖房そのものはサーマ・スラブという建物に組み込んでしまうシステムを以前にも採用していて、こちらはやたらデカい置き型タイプと違い意匠を邪魔しないのですが、計画によって有利不利がでてしまうのとイニシャルが大きいため毎回の採用は難しいものがあります。その点置き型は採用がしやすい利点があります。にしても、機械の大きさとお値段が悩みの種になるのは同じかな。

前回に設置の様子を見のがしたので、今回は拝見しにいきました。暖房機の中身のほとんどは熱源の廻りにレンガが積まれて入っているだけです。そのレンガの多さで能力が変わるという単純なものですが、その状態を見るだけで、コリャ暖かいかもって思ってしまいます。レンガは酸化鉄だそうで、見るからに重い感じです。ひとつが7キロ、写真の機械で30個入っているのでこれだけで210キロになる計算。そう聞くだけで暖かい気がしてきますね。

丁度、洗濯機の設置に来られた家電量販店のお兄さんが横で、見慣れぬ機械に興味津々なご様子。ただ暖かくなり始めたところなので、今シーズンの活躍はあまり無さそうなのがちょっと残念です。

設計監理のバイオリズム

陽に照らされる集合住宅

陽に照らされると心地よさが戻ってきました。ここ2〜3日は朝の目覚めも良くなって来た気がします。ただ、ひと物件完了して気が緩んでいるだけかもしれませんが、心地よくともほとんど緊張感がありません。

実際、物件が完成して監理業務が終わるとしばらく頭の動きがぐっと緩慢になってしまう気がします。もちろん物件は他にも同時進行していますから、そんな事を言っている暇はないのですが、どことなく集中力が欠如して仕事中にも他のコトへ目移りしてしまう傾向が、自分にはある様な気がしてなりません。基本計画で施主さんにコレでいきましょうって言ってもらえた後、実施計画が終わって見積図面を業者さんに渡せた後、節目節目にそうしたグルグル急降下がやってきます。

またそこから長丁場に備えて徐々にエンジンの回転を上げ、急降下の一歩手前では息継ぎが出来ず酸欠状態になってしまい、モウロウとしているのもまた確か。ア〜もうわからん、コンでええかいな〜。最後の最後は自問自答に目の前が見えずフラフラ。

自分にとって谷あり山ありの設計監理はそんな風ですが、物件とのタイミングが合わなかったらホント気持ち悪くなります。いつまでも体力任せな事やっとたらアカンとも思います。もっと落ち着いて出来る術を一体どう身につけるか、それが今現在一番の悩みです。

見学会は無事終了。

階段のひだまり

先週末のオープンハウスは快晴に恵まれ、無事終了。結局来客は身内ばかりでしたが、楽しい一日が過ごせました。普段なかなかキッカケがありませんが、久しぶりに会える面々と近況や世間話を聞ける良い機会になります。なにより足を運んでもらえるのが本当に有難いです。

お越しいただいた皆様、ありがとうございました。

現場途中の地下道入口

地下道入口

車検で車を使わず初めて現場まで歩いた。そうすると思わぬものに出くわした。変哲もない線路をくぐるための地下道の入口が、ぶっきらぼうに建っている。奥の窓がある部分はハイサイドライトで階段を照らす明かり取りになっているが、これもまたぶっきらぼうな感じがする。考えた様な考えてない様な。微妙な感じに魅力を感じてしまう。

明日は竣工物件の見学会。最寄り駅からまっすぐ北に向かうとこの地下道に出会えます。

犬島『精錬所』

犬島〜精錬所〜
犬島〜精錬所〜

去年の夏に瀬戸内の犬島に行ったきり触れずままになっていたが、「犬島アートプロジェクト『精錬所』(設計:三分一博志建築設計事務所)」が2010年度 日本建築大賞となったニュースを読んで思い出した。これを機会にほんのちょっとだけご紹介。

この建築が建つ前にも「維新派」の公演を観に来ているので犬島訪問は2回目。精錬所跡地の残る荒々しいままの雰囲気に感動していた記憶が残っていたのだが、今はベネッセが直島に続いて手を入れているため島はずっときれいに整備され、普通な観光スポットに来てしまった感じでちょっとつまらなかった。大賞となった『精錬所』は環境エネルギーのサイクルを利用したエコ建築がひとつの売り。その仕掛けは面白いのだけど、周囲に馴染ませることを意図したデザインは恣意的なところが見え隠れする。嫌いではないけど、なんとなくパビリオン的な印象を受けたのが少しもったいない気もする。もうすこし削ぎ落した表現をしても良かったのではないだろうか。

エラそうな事を書いてしまったが、整備前の崩れそうな煙突の下から見上げた体験の方がどうしても印象的だったのです。新しく何かをした時に、記憶の遺産を乗り越えるのは難しいですね。

順々「和」が分る様になりたい。

滋賀坂本・竹林院
滋賀坂本・竹林院

手掛ける物件にどことなく木造が多くなって来たからなおさらだけど、どことなく「和」と言うのものに興味が向いています。もちろん以前から和風の家には興味があるのですが、今自分に出来るのはせいぜい「準々・和風」ぐらいでしょうか。ええ歳になったころ、ちゃんとした「和」ができるようになりたい。「和風」でも「純和風」でもなく「和」。むろん茶室とか書院とか日本建築の体系を理解し具現できるようになる事ももちろんですが、「和」とは何ぞを体現できる何かを掴みたいと思っています。

ですが、たまに訪れる「和」の空間を見る度、余りに通り一辺倒でしかない自分を恥じるばかりです。