高橋提灯【京提灯】

表にはいろいろな提灯
表にはいろいろな提灯

京都の地下鉄東西線・小野駅から徒歩で10分ほど。京提灯の工房・高橋提灯株式会社があります。 社長の高橋康二さんに工房を案内して頂きながら、京提灯についていろいろお話を伺いました。

提灯は大きく分けると、骨組みの違う2つの作り方があります。
ひとつは「平骨」と呼ばれる京提灯。五ミリほどの幅の割り竹を一本一本輪にして水平に重ねてあり、少し武骨な感じがします。
もうひとつは岐阜や名古屋の「巻骨」と言い、細い竹ひごがぐるぐるとらせん状になっています。上から見ると渦巻き状で、イサムノグチの提灯型照明の骨組みがこれに当たり、繊細な感じです。
提灯にイメージしていたのはどちらか言えば「巻骨」の方だったのですが、この違いはそれぞれの使われ方に由縁があるようです。「巻骨」の方は、お盆などに使われる「盆提灯」が代表で、祭事などに装飾として使われますが、「平骨」の京提灯はむしろ日常的な実用提灯のため丈夫な作りになっているのだそう。写 真を見てもらうと分かりますが、頑丈そうですね。

紙貼りの様子
紙貼りの様子
文字書きをする社長さん
文字書きをする社長さん

そして何よりも、全工程を一ケ所の工房で行っているのは全国でもあまり無いそうです。提灯屋さんと呼ばれるところのほとんどは、最終工程の文字書き・絵付のみの工房で、「白張り」と呼ばれる無地の提灯を作る工場と分業になっています。此処、高橋提灯さんは、昔ながらの手作業で全てを制作する京提灯の工房なのだそう。
工程のなかでも興味深げだったのは、紙張りを終えた提灯の中から、提灯の型を抜く様子。放射状に組み合わせた弓型の木の板をうまい具合にすぼまった提灯の口から抜き取ります。思わず感心してしまいました。

体験で描かせてもらった提灯
体験で描かせてもらった提灯

ところで、おそらく誰もが知っている高橋提灯さんの作品があります。東京浅草寺の雷門大提灯がそれ。この提灯も大きいですが、愛知県幡豆郡一色町「一色学びの館」にある間濱組の大提灯レプリカは高さがなんと10Mもあるのだそう。日本一です。

しかし、台湾や中国に生産の場をほぼ譲ってしまった現状に対し、社長さんは「実用的な提灯は100%国産を目指したい」と話されています。これからも日本の夜を、ここで作られた提灯で暖かくいつまでも灯して欲しいです。


【案内】
高橋提灯株式会社
本店:京都市下京区柳馬場綾小路南
TEL:075-351-1768
工場:京都市山科区勧修寺北出町4-1
TEL:075-501-2929

【参考サイト】
ゆかし、京|京提灯・高橋提灯
(読売新聞ホームページの特集記事)

小堀【京仏具】

小堀
小堀

京都の地下鉄東西線・椥辻(なぎつじ)駅からタクシーで5分ほど。創業から二百有余年にもなる「小堀京仏具工房」があります。仏具の工房なので町屋や蔵のイメージで向いましたが、着いて見ると近代的な建物、広い工房が目の前に現れました。と言ってもこの工房が建設されたのは平成8年。職種によって別 れていたそれぞれの狭い工房をひとつにまとめ、伝統を守りつつ一貫した管理体制で、より良い制作環境を職人さんに提供しています。

さまざまなカンナ
さまざまなカンナ
木工
木工

仏具なのですから、考えてみれば京都伝統工芸を一堂に介した総合芸術。想像を越える工程がひとつひとつにある訳です。小堀さんでは普段目にする家庭のお仏壇もさる事ながら、むしろ寺院用のオリジナル仏具が生産の中心です。
全国各地の寺院さんが京仏具を求めに小堀さんの元にやって来られます。 その理由のひとつに、様々な各宗派に合わせた忠実な仏具を作る事のできる体制があると言う点です。地方の仏具屋さんでは、そうした数多くある宗派に合わせた仏具をそろえる事はなかなか難しく、どうしても汎用的な仏具の生産になってしまいます。永年に渡るノウハウの蓄積と、熟達した職人の技術、充分な制作環境がどんなニーズにも対応できる体制を可能にしています。
しかし工房を見学して思うことは、それに甘んじない物作りの姿勢ではないでしょうか。 原材料の選別からはじまり、職人さんの作業風景から醸し出す緊張した空気は、本物の仏具を揃えたいという気持ちにさせてくれます。
実際のところ、中国で作られる安価に売られる家庭用の仏具などは参考に展示されていても販売される事はありません。逆を返せば小堀さんの仏具はどれも、それ相応の値段がついている訳ですが、それを十分に納得させてもらえます。

漆
金箔
金箔

設計者としてとても興味深く驚いたものがありました。京仏具には設計図となるものが無いのです。正確に言えば、制作の基準となる道具はあっても図面 は無いのです。
その道具も単なる四角い棒っ切れ。「杖」と呼ばれていますが、その棒に必要な寸法、比率を刻み込み、ひとつの仏具に必要な情報が全て盛り込まれます。ですから、オリジナルのひとつの仏具に対し杖が一本だけ、設計の痕跡として残ります。複製するにもその杖があれば可能なのだと言います。
まるで、時代を超えた集積回路を見るような気分がしました。


小堀さんでは、工房の見学も可能です。機会があれば、ぜひ見学されることをお薦めします。
また、金箔押しの体験も出来ます。ちょっと、伝統工芸が身近になる感じがします。職人さんの様に上手には出来ませんが、少しだけ謎が解けたような気分がしました。こちらもお薦めです。
また、丁寧なホームページを揃えていらっしゃいます。仏具に関して気になる事が、とても参考になると思います。

納骨堂用のアルミ製お仏壇
納骨堂用のアルミ製お仏壇


【案内】
株式会社小堀
本店:京都市下京区烏丸通正面上る
TEL:075-341-4121
小堀京仏具工場:京都市山科区西野山百々町88
TEL:075-509-0165