
京都・比叡山のふもと、叡山電鉄八瀬遊園駅から国道367号線をしばらく、レーシングカーで有名な「童夢」があります。自動車に詳しくはありませんが、小学校か中学生の頃に「童夢-零」という日本発のスーパーカーのあった事を憶えています。その童夢を訪ねました。
会社設立からは25年だそうですが、社長の林みのる氏がレーシングカー「カラス」を製作した1965年から夢がスタートしている事を知りました。丁度、私が生まれた年に当たります。同い年だったんですね~。童夢と。
童夢は、レーシングカーの開発・製作・販売を主要業務とし、開発目的で自らレースにも参戦しています。小さいスケールでありながらも各方面 から優秀な技術を評価されている個性的な会社です。
担当の方に案内されて開発室に入りました。ここにはおよそ30人ぐらいの技術者がいます。童夢ではデザイン専門という人がいません。必要に応じてスタイリングデザインはイタリアのデザイン会社に委託もするそうですが、基本的にはそれぞれの技術者が各自の担当する車の多くの部分を、デザインも含め開発していくのだそうです。また開発チームもその時その時に流動的に動くと言われます。
全体の中の駒の一つではない職場環境は、自動車作りを真剣にかつ楽しんでやりたいと言う社風の現れのように感じました。

その次にはモックアップの加工をするNC加工室です。乗用車程度の大きさならそのまま削りだせるそうです。

次の部屋には風洞実験用のモデルが置いてありました。実際のレーシングカーと同じ素材(カーボンファイバー)で作られています。見た感じ、ちょっと大きなラジコンカーのような気がしました。置いてあったものは40分の1のスケールで作られています。そばには同縮尺のタイヤもありました。
ボディの決定は時間の許す限り風洞実験に掛け、微調整をくり返すのだそうです。別 に置かれていたモデルは粘土などでパテ盛りもされてあったり、テープで部品を貼り付けてあったり、その様子が想像できます。

次の部屋には昨年度モデルの実物がおかれていました。はじめてフォーミュラーカーを目の前にして、ちょっと感激です。風洞実験のモデルがそのまま大きくなったような感じです。
フロントフェンダーが幾つか置かれていたのでそのひとつを持ち上げてみました。カーボンファイバーで作られているので十分に持てる重さです。レーシングカーの車体の6割はこうしたカーボンで作られているそうです。
置かれていたモデルのシャーシはヨーロッパの会社から購入したものだそうですが、今年度より自社製シャーシで参戦されています。
そばに黒い大きな箱がありました。その中には無限エンジンが入っているそうです。まるでブラックボックス。


最後にメンテナンス室です。 組立、整備を行う部屋ですが、整備士の方々が真剣な表情で作業をされていました。街の整備工場のイメージと違い、整理整頓され明るい作業場です。2台のレーシングカーが並べられ圧倒的な迫力を感じます。

全社員で約40名。皆がF1参戦というひとつの目標に向っているのが本当によく伝わります。「商売はうまくは無いのが課題」「コストに合わせる物作りはしない」と常務取締役の武林さんはお話されていましたが、一丸となって進もうとする童夢には本当に夢がありました。
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【案内】
株式会社童夢
京都市左京区八瀬花尻町198-1
TEL:075-744-3131
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【参考サイト】
「無限」
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